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今回ご紹介するロールモデル

第2回 三浦由紀江さん みうらゆきえ
日本レストランエンタプライズ
駅弁マイスター
 23年間の専業主婦生活で履歴書を書いた経験もなかった三浦さんは、44歳の時にJR上野駅の駅弁販売でパートデビュー。専業主婦時代の経験を生かし、徐々に「カリスマ駅弁販売員」として頭角を現す。52歳の時に正社員に登用。その翌年、大宮営業所長を任されると、就任1年目で駅弁売上を5000万円アップさせ年商10億円超を達成。大宮駅限定のカリスマ駅弁を生み出すなどカリスマ営業所長として活躍。就任4年で売上を1億1000万円アップさせる。現在は、駅弁マイスターとして後進の指導にあたるかたわら、講演活動等でも活躍中。

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プロフィール

1953年生まれ 埼玉県出身。
21歳で学生結婚し、大学を中退。3人の子育て(長男、長女、次女)に邁進する。
1997年、44歳時にJR上野駅駅弁販売でパートデビュー。
2001年 パートの身分ながらはじめて上野駅8店舗を束ねる総括店長となる。
契約社員を経て2006年 正社員となり、2007年大宮営業所長就任。2013年、上野営業所セールスアドバイザー。2013年12月定年退職。2014年1月パート社員「駅弁マイスター」として現場の指導にあたる。

 

パートにでようと思ったきっかけは?

 長女に言われたことがきっかけです。子どもたちの手がかからなくなる歳になると、時間に余裕ができました。近所の主婦仲間とお茶飲んだり、ランチをしたりしていました。「私達、このままでいいのかな。」とか「パートでもしようか。」という話題は出ていましたが、何も踏み出せないままでした。そのような私の生活を見かねたのか、当時、大学生となっていた長女にこう言われたのです。「お母さん、昨日もランチ行かなかった?毎日ブラブラしていないで少しは外に出て働いたら。」と。

 そして、翌日、アルバイト雑誌を渡されました。条件は、制服があって自転車で10分以内ということでした。最初は、「日本食堂(現 日本レストランエンタプライズ)の蕎麦屋がいいかな」と思いましたが、「蕎麦屋は大変そうだよ。そばを茹でたり、丼を運んだり、洗い物したり。駅弁販売店の方が楽そうだから、こっちに応募しなよ」という子どもの意見で、駅弁販売店に応募することに決まりました。

 

それまでの仕事経験は?

 私には、いわゆる社会人経験というものはありませんでした。大学時代に知り合いの家庭教師や家業の手伝いなどのアルバイトをしたことくらい。ちゃんと一般の会社に応募してという就職活動をしたことがありませんでした。ですから、履歴書を書いた経験もありません。この会社に応募したときが初めてです。履歴書の内容も「大学中退」以降は白紙でした。

 夫は自営業を営んでいましたが、私を店頭に出すことはありませんでしたし、せいぜい、帳簿づけや銀行への入金や振込などを手伝うくらい。それらを「銀行取引の経験あり」とか何とか職歴として書こうかなと迷いましたが、結局、何も書かずに提出しました。よく採用してくれたなと思います。

 

仕事を楽しむ

 ariticle_miura_img01私が働き始めた当時は、現在と違って駅の中は日本食堂かキオスクの独占販売の状態でした。たくさん売っても売らなくても時給は変わらないのですが、私は忙しい方が好きでした。負けず嫌いなので、他の販売員達が「この商品は販売するのが難しい」と言っているのを聞くと「じゃあ、売ってみよう」と。時間内に見事に販売できると、お客様に笑顔で対応しながら後ろ手で仲間にVサインを出したり、ゲーム感覚で楽しんでいました。

 販売は、チームワークが大切です。時には合わない人がいることもあります。しかし、その日、一日を楽しく仕事をしないと成果はでません。嫌だと思う人と仕事をしたくないから、必ずその人の良いところを見つけるようにしています。楽しまないとがんばれない、楽しければがんばれますよ。

 そのうち、ひとつの売店の店長を任されるようになりました。働き始めて6年経ったとき、上野駅内8店舗の総括店長となり、パート社員の出退勤の管理、シフトの作成、接客の指導などを担当させていただきました。その後、社員登用試験を受けて正社員になりました。

 

仕事をする上で大切なことは?

 人を相手にする仕事であれば、接客力が全ての仕事の基本だと思います。「いらっしゃいませ」というあいさつとお客様の好みを把握して売ること、この人から買いたいと思わせることができれば、どの仕事でもうまくいくのではないでしょうか。医者でも弁護士でも税理士でも、この人に頼みたいというところにお客様は集まるのではないかと思います。

 駅弁販売だから雄弁な人が必ずしも良いわけではありません。言葉をあまりしゃべらなくてもいいんです。口下手な人ですごいセールスをする人もいます。そういう人でも一言、二言でも相手の心に響く態度や言葉がでていれば売れます。相手に話させるような接客もあります。モソモソっと話す販売員もいます。ひとりひとりの個性を、その人らしさを前面に出しながら接客することが大事だと思います。だから、私はマニュアルなんて大嫌いです。もちろん、仕事をする上で基本的なことを学ぶことは大事です。売店の開け閉めやレジの使い方など守るべきことのマニュアルは必要だと思いますが、接客はひとりひとりの個性を生かすことが大切です。

 

辞めようと思ったことは?

 意見が通らなかったり、実績を上げているにも関わらず他の若いパート社員が自分より先に契約社員に登用されたり。評価されていないと感じて辞めたいと思ったことも何度かあります。その頃は、こんなところ辞めてやると思って、求人誌を3か月ぐらい見ていました。そんな時、大きな転機が訪れました。自分を評価してくれる支店長が現れたのです。

 その支店長は、私にこうアドバイスをしてくれました。「お前の言い方は、ただの文句を言っているだけだ。いい意見を言っているのだから、箇条書きでもいいから、紙に書いて普通の言葉で提案してみなさい。」、「黙っていることもたまには必要だ。何でもすぐに口に出すものじゃない。そうすれば、お前の仕事は変わる。」と。

 それまでは、そのようなきちんとした注意をされたことはありませんでした。何でも人のせいにしてみたり、一言言われると相手に倍返すので、主人からは「ああ言えば、由紀江」と言われたぐらいでした。人のせいばかりにしていると不平不満もでて、前に進めません。そのように考えないことで気持ちの切り替えができるようになりました。今は折れない心ができたと思います。

 

自然とお客様目線になる

 ariticle_miura_img02女性は、お客様目線に立って物事を考えられる、考えやすいのかなと思います。私は専業主婦だったので、どうしても買う側の気持ちを優先してしまいます。料理をしてきていれば、「このおかずはおかしい」とか「味付けが美味しい」とかもわかります。あるいは、電化製品でも「こういう機能があればいいのに」とか「これは不要だな」とか考えたりします。主婦としての家事や子育ての経験があると、お客様がうれしいと思うことを理解できるし、そのような生活者の視点を生かせるのではないでしょうか。

 私が専業主婦のときですが、スーパーで買い物していたとき、レジで不機嫌そうな顔で対応をする店員がいたことがありました。そんな店員からは物を買う気がなくなります。途中で買うのを止めてレジに品物を置いて帰ってしまったことが2回もあります。もちろん、今はどこのスーパーでも笑顔で対応してくれると思いますよ(笑)。

 

人材育成は子育てと同じ

 ariticle_miura_img03大宮営業所長時代、人を育てるために心がけていたことは、「良いところを褒めて伸ばすこと」と「言うべきことはきちんと言う」ことです。これは子育てと同じです。最近の風潮でしょうか、会社の中で「言うべきことを言える人」がほとんどいない気がします。上野でパートとして働いていた時にも、アルバイトの若い女の子の身だしなみに関する注意をできる社員はいませんでした。髪の毛の色やヘアースタイル、ネイルアートなど自分がやりたい放題の状態で売店に立ちます。そのたびに、パートの私たちが注意していました。きっとうるさいおばちゃんだと思われていたでしょう。しかし、彼女たちが間違ってる時にきちんと注意すれば、たまに褒められた時に彼女たちはうれしくなります。もっと褒められたいと仕事をがんばるようになるでしょう。その結果、彼女たちは良い販売員に育つのです。

 自分の子どもを褒めるだけで育てるお母さんはいないはずです。子どもが道路に飛び出したらお尻を叩いて思い切り叱るでしょう。ただ、叱る時にも相手をへこませないように注意しなければならないこともあります。「あれ、これは中学生のときに息子に同じようなことを言っていたな」なんてことがよくありました。

 私は、子どもには決して「勉強しろ」とは言わないと決めていました。そんなことを言っても不満を持つだけでしょう。「どこがわからないの?」とか「どうしたらいいの?」と一緒に考えて、本人をやる気にさせるしかないのかなと思います。「こんなこともわからないのか」と頭ごなしにいう上司がいたら、その上司の指導が悪いからだと思います。

 

子育て経験者は優秀です

 自分が採用する側になってみると、必ずしも職歴があるからいい人とは限らないと気づきました。子育ての経験をした主婦に優秀な方がたくさんいることがわかりました。ある営業が、優秀と思われる女性を面接した際「この人は午前8時からは働けないから採用しません」というのを聞いて、「何で?」と思いました。それまでは、いい人が来ても時間だけが合わないからという理由だけで採用していなかったのです。子どもが育ったら早い時間からでも出勤できるかも知れません。

 今、働いている人よりも優秀な人が応募してきているのだから、働ける時間だけでも優秀な人にシフトに入ってもらった方がいいと考えています。私はアルバイト経験のない主婦は好きです。染まっていないので一生懸命働いてくれますよ。

 子育てや専業主婦の経験というのは、仕事に生きると思います。最近、主婦をセールスで活用して成功している会社が増えてきていると思いますが、それはやはりお客様の気持ちがわかるからだろうと思います。

 

与えられたところでがんばれば道はひらける

 私は年齢がいっているし、仕事の経験もないので、接客業ぐらいしかできないと思って、この仕事を選びました。だから、蕎麦屋や駅弁販売に抵抗はありませんでした。抵抗がある人は、再就職は難しいのかなと思います。「今までと違う仕事だから」とか「希望の仕事ではないから」と言っていたら、「だから、女性は…」と言われてしまうと思います。

 私は、何でもいいから応募して、目の前の仕事をやってきただけなんです。「駅弁の接客なんてヤダ」と思ったら、そこで終わりです。それは、私が大学を卒業していないからかも知れません。でも、それが良かったのだと思います。「置かれた場所で咲きなさい」(渡辺和子著)ということではないでしょうか。そのときに、そんな高尚なことを思ったわけではありませんけど(笑)。与えられた環境を楽しむことだと思います。

 

いくつになっても挑戦できる

 歳は関係ありません。いくつになっても諦めないでほしい。与えられたところで与えられたことを楽しんでやっていけば、道がひらけると思います。私は、よく「前向きですね」と言われますが、いつもハイテンションでいるわけではありません。落ち込んだり、へこむこともよくあります。癌になってしまい大宮営業所長を辞め、上野駅の営業次長となったとき、「何でこんなことをしないといけないの」と思いました。でも、そのときこう考えました。「私は社員になって1年余りで管理職経験もないのに、いきなり大宮の営業所長になって、現場の次長の経験もないけど、後から経験してもいいじゃない」と。これが前向きに生きるということだと思います。いくつになっても挑戦を諦めない。年齢は関係ありません。

 男性と女性では働き方が違っていいと思います。男性と同じように仕事をしようと頑張りすぎなくてもいいのではないでしょうか。女性には女性らしい働き方もあると思います。

会社紹介

株式会社日本レストランエンタプライズ

所在地
〒108-0074 東京都港区高輪2-19-13 高輪センタービル
社員数
1,739名(長期臨時社員含む)
業種
サービス業
事業内容
旅客鉄道会社列車内食堂営業、車内販売営業、車内改札及び案内に関する業務、 飲食店の営業並びに煙草、切手類、食料品、酒類、日用品雑貨の販売など
URL
http://www.nre.co.jp/

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